箱根にあるラリック美術館。その敷地内に静かに佇むのが、ルネ・ラリックが内装装飾を手がけた本物の《オリエント急行》です。今回体験したのは、その車内でゆったりとティータイムを楽しめる特別なプラン。
結論から言うと——お茶好きにとって、これ以上ない“物語のあるティータイム”でした。
オリエント急行がなぜ美術館に?
ラリック美術館の敷地に入ると、レストラン側にオリエント急行の車両が展示されています。
オリエント急行は、19世紀にパリ〜イスタンブール間で運行していた、ヨーロッパを走る豪華な夜行列車で、王侯貴族や富裕層にも愛された列車です。オリエント急行と聞くと、アガサ・クリスティの小説『オリエント急行の殺人』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。はい、その、「オリエント急行」です!




では、なぜ、そんなオリエント急行がラリック美術館に展示されているかというと、列車内の装飾を、ガラス職人であるルネ・ラリックが任されたから!
ルネ・ラリックは、1900年のパリ万博でブレイクした、フランスの宝飾・ガラス職人です。ラリックの作品はとにかくセンス抜群で素敵すぎる…宝飾、ガラスで作った香水瓶や花瓶など日用品、家具や扉・窓に至るまで、作品も幅広く、石油王のパトロンがいたり、大女優に贔屓されたりと、当時から愛される商業芸術家です。箱根ラリック美術館には、ラリックの作品が多数展示されているので、箱根に行く際はぜひ行ってみていください。

オリエント急行でのティータイム | ガラスの芸術に包まれたお茶会
ティータイム体験では、オリエント急行の車両内でお茶をすることができます。一歩、列車に足を踏み入れると、重厚でふかふかの絨毯に年季が入った木の扉…雰囲気は一気に19世紀。

列車内には、ブドウと男女のレリーフが施されたラリックならではの乳白色の立体的なガラスの装飾パネルなど、至るところにラリックの作品が。普段は美術館で、ガラスケースの中にある作品が、手が触れられる距離にあるのは感動です。
※全て、貴重な作品なので、手を触れてはいけません!

天井の柔らかな光の小さな照明もラリックの作品。

案内されたテーブルには、すでにティーカップとデザートが準備されており、程なく、銀のティーポットでお茶が運ばれてきました。

ティーは、レストランカウンターで申し込み時に、下記の4種から選ぶことができます。
- Hot Tea:アッサムとダージリンをミックスしたオリジナルブレンドティー
- Herb Tea:ドライアップル、オレンジピール、ハイビスカス、ローズヒップをミックスしたハーブティー
- Flowery Moon Tea:ほうじ茶に、満月のような丸い形のカモミールと、エルダーフラワーをブレンドしたお茶
- Jade Lemon Green Tea(翡翠レモン):緑茶とジャスミンをベースに、レモングラスやペパーミントをブレンドし、コーンフラワーを散りばめたお茶
オリジナルブレンドティーは、オーソドックスでクラシックな美味しさ。翡翠レモンは、緑茶ベースのレモンティーで、ほんのりジャスミンが香るすっきりしたお味。そして、みんなから一番評判良かったお茶は、Flowery Moon Tea。ほうじ茶ベースとのことですが、ジャスミンも多めでなんとも優雅で不思議な味でした。

ティーカップには、金色の文字でORIENT EXPRESSと印字してあって、これまた素敵…

季節のデザートは、チョコレートムース。コンポートした洋梨が甘く香り、チョコムースはふわっと軽くて甘すぎず、上品な味でした。

お茶をしながら、ふと目に触れるものが、ラリックの作品だなんて、なんて贅沢!




オリエント急行は、芸術と歴史を味わうための空間。
ちなみに、ティータイムをする列車は、2001年まで実際にパリ〜イスタンブール間を走行していた列車とのこと。お茶と片手に、そっと目を閉じて、ヨーロッパでオリエント急行を乗って旅行する姿を想像してみる…
銀色に光るポット、温かい紅茶、カップを持つ手元、静かな声で会話を楽しむ乗客、ふかふかで心地の良いソファ、ガラス装飾に反射する光、柔らかいお花の照明、少し古びた窓に木の壁の温もり。すべてが静かに調和して、お茶をしている自分も、景色の一つとして溶け込んでいるような気がしました。
オリエント急行 ティータイムの申し込み方法
オリエント急行でのティータイムプランは、ご利用日当日、ラリック美術館に併設されているレストランのカウンターにて申し込むことができます。箱根は天気が崩れやすく、特に雪が降ったら予定通り動くことができないので、残念ながら事前予約や、時間の指定はすることができません。当日に現地にて申し込み、席が空き次第の案内となります。
・体験料金:2,750円 ティー及び、季節のデザート付き
・受付開始:9:00
・体験時間:10:00〜15:00 ※申し込み後、席が空き次第、順次案内してもらえます。
・乗車時間:40分間
※最初に6-7分ほど、オリエント急行についての説明の映像を鑑賞します。その後、席への案内となるので、実質ティータイムを楽しめるのは30分程度です。
※ラリック美術館のご利用なしで、ティータイムのみ利用可能でした。逆に、美術館ご利用の際は、別途美術館の入場料金が費用となります。
美術館情報
- 美術館:箱根ラリック美術館 オリエント急行
- 住所:〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186−1
- OPNE/CLOSE(美術館)
- 9:00~16:00(美術館入館は15:30まで)
- アクセス:美術館HP参照
まとめ|ティータイムは「飲む」だけでなく、「体験する」もの
ティータイムは、ただ茶葉や抽出だけで完結するものではありません。
- どんな空間で
- どんな器で
- どんな時間の流れの中で
いただくかによって、同じお茶でも印象は大きく変わります。
オリエント急行のティータイムは、まさにそのことを体現した体験。豪華な列車内で歴史を感じ、どこか心躍らせながら、でも静かな雰囲気の中のお茶の時間は、短いながらとても心に残る体験でした。
毎日の日常の中でのホッとするティータイム、友達でワイワイしながらの豪華なアフタヌーンティー、そして、新しい体験と共に味わうお茶の時間。癒される〜!そしてリフレッシュ!
お茶が好きな方、特別なティータイムを探している方には、心からおすすめしたい場所。一杯のお茶が、旅の記憶になる。そんな体験でした。